アトリエそるりの造形プログラムが幼稚園の授業で開始しました。
2017年4月から以前から課外授業でお世話になっておりました幼稚園でアトリエそるりの指導プログラムを導入し正課授業を行うことになりました。
これまでこの園の造形活動は、先生のつくったお手本をその通りに作らせる見本制作が中心でした。子ども達の創造性を育む取り組みとはかけ離れて造形指導法がわからないまま活動していたようです。それでもできる子はそれなりに形になりましたが、できない子は保護者の手前、先生が手を入れてしまう。そんな現状が毎年繰り返しされていたようです。
造形プログラム導入のきっかけは、以前アトリエそるりの練馬教室で行なわれた「保育士向けの造形指導セミナー」にこの幼稚園の教務主任の先生が参加されその体験を園内で話されたようです。その後、園長先生が「アトリエそるり」の課外授業を見学されました。園長先生はそこでの子ども達の活動や作品を見て心を打たれたようです。
その後、園長先生との面談が始まりました。園長先生は「子ども自身が自由にのびのび制作活動できる環境をつくりたい」「園職員が指導法を身につけ自信を持って指導できるようになってもらいたい」等々と熱い思いを話されました。そこでこの園の方針にあわせたオリジナルプログラムを作成することになりました。これは園としても大きなチャレンジでもあります。今までとは違うやり方やプログラムをいきなり導入しても現場で混乱が起こることは想定されます。そこで園長先生をはじめ幹部の先生と今までの指導状況などについて細かくヒヤリングし慎重に進めていくことになりました。
そこで職員全体の理解が必要。造形という単元を園職員がどのように捉えるのが最も重要です。
新学期が始まる前に勉強会として『造形指導:職員研修セミナー』を開きました。
テーマは、「保育の現場における造形指導とは」ここでは、どのように系統立てて子ども達に指導しいくかを学びます。
<セミナー内容>
幼児期における絵画造形指導のあり方
普段の保育の現場の延長線上に造形活動の可能性がたくさんある
系統立てて指導することで他の教科との融合性が多く存在することを知る
技術を教え込むのではなく能力を引き出すことが大切。
指導の極意(ポイントと注意点)
一人一人の能力を引き出す方法
一人一人に合わせた声かけ方法
保護者へのメッセージ
造形の楽しみ方:参加型ワークショップ(先生方が参加)
先生自ら苦手意識からの解放
先生が楽しむことで指導が変わる
セミナー終了後、各学年の年間授業計画を立てカリキュラム作成に入りました。
この幼稚園は、年少クラス・年中クラス・年長クラス全部で500人規模の大所帯幼稚園です。
各学年の年間授業計画を立て、それぞれの目標を以下のものにいたしました。
年少クラス:1つのものにまとめ上げるよりも自由に描くことや作る過程を大切にし、経験遊びを造形活動に関連づける。手で触れたり観察することを大切にした活動。
年中クラス:手先と知能が発達する時期。ひとり一人の発想を大切に。ひらめきを具体化する、表現する喜びを模索する活動。
年長クラス:修学準備前を前提とした取り組み。自ら考え行動する力を身につけ自己表現の喜びを実感する。色々な観点で物事を考えて行動できる力を身につける。
この目標は、「芸術は自由」「好きにやらせばいい」というよく耳にする何か無責任な指導環境ではなく明確な方向性(道筋)をつくった上で子ども達に自由に表現させる考えです。
個人差はありますが必ず変化がでてくる取組みです。今後、新プログラムを導入した子ども達や先生方の様子、また私自身の発見を報告していきたいと思います。